女性不妊の原因のうち約3割は排卵が上手くいかない「排卵障害」によるものと言われていて、このようなケースでは、排卵誘発剤を用いて排卵をコントロールすることが大切になります。
排卵誘発剤には様々なものがありますが、その一つが今回ご紹介する「ブセレキュア」です。
ブセレキュアの効果や副作用などについて見ていきましょう。
ブセレキュアとは?ブセレキュアは排卵を止める?
ブセレキュアは液状の薬で、鼻の中にスプレーをする噴霧投与を基本とし、効果が不十分な場合には皮下注射で投与されることもあります。
そもそもブセレキュアとは「GnRH誘導体製剤(GnRHアゴニスト)」の一種です。
GnRHアゴニストは長期的に使用することにより「ゴナドトロピン」というホルモンの分泌を抑え、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という女性ホルモンの値を低下させます。
このエストロゲンは、卵胞の成熟を促し排卵が正常に行われるために必要不可欠なホルモンであり、ブセレキュアを長期使用すると排卵が止まって閉経したかのような状態になります。
そのため、ブセレキュアは体外受精に臨む際に排卵のタイミングをコントロールするためや、子宮内膜症や子宮筋腫などのエストロゲンの作用で進行する病気を改善するために使用されます。
ブセレキュアに排卵誘発効果があるのはなぜ?
先ほどご紹介した通り、ブセレキュアには長期間使用すると排卵を抑制する効果があります。
しかし、使用してすぐの時期には逆に、ゴナドトロピンの分泌が促進される「フレアップ」という現象が起こり、その結果として排卵が促されます。
つまり、ブセレキュアは短期使用により排卵誘発剤としての効果を発揮するわけです。
具体的には、ブセレキュアを点鼻すると36時間後には排卵が起こると言われています。
ブセレキュアの使い方
ブセレキュアを使用する際の注意点は?
ブセレキュアの使用に伴う、主な副作用は以下の通りです。
発生頻度は不明ですが、使用後には十分に経過観察を行い、万一これらの症状が見られた場合には速やかに担当医に診てもらう必要があります。
〈副作用〉
- 過敏症状(発疹、蕁麻疹など)
- 体の痛み…関節痛、腹痛、頭痛、腰痛、偏頭痛、肩こり
- 更年期様症状…膣乾燥、ほてり、不正出血、性交痛、うつ症状
- 肝機能障害、黄疸
- 糖尿病の発症や悪化
- 喘息様症状
- 動悸、血圧上昇、むくみ、手足の冷え
- 痙攣
- 血小板減少
- 不安、だるさ、不眠、傾眠、めまい、耳鳴り、健忘
- 吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢
- 視力障害、眼精疲労
- 乳房のはり、萎縮
- 口の渇き
- 脱毛 など
また、以下に当てはまる方は使用ができない、あるいは使用できない可能性がありますので、あらかじめ担当医に報告をする必要があります。
<使用できない、または使用できない可能性のある方>
- 妊娠中の方
- 授乳中の方
- 持病のある方
- アレルギー体質の方
- 他に使用している薬がある方
ブセレキュアの効果と注意点がおわかりいただけたと思います。
使用を希望する場合には、医師と相談しながら、これらの効果や注意点を総合的に考えていくことが大切です。